桜設計集団一級建築士事務所

木造の防耐火技術開発と設計

安全な木造建築物をつくる

木材をふんだんに使った木造建築物は、室内に入るととても心地よく感じます。一方で、木造建築物は、地震や火事等の災害に弱いと思っている人々が多いのも事実です。
 しかし、現代の技術をもってすれば、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同様の耐震性能、防耐火性能を持たせることが可能です。
 令和元年6月の改正建築基準法施行では、中大規模の建築物を木造でつくりやすくするためのさまざまな手段が追加されました。多くの実験や検証に裏付けされた技術を用いて、心地よくて、安全な木造建築物をつくっていきましょう。

ゆっくり燃える木材を安全に使う

木材は適度な水分を持ち、かつ、熱伝導率が低い材料です。すなわち、火災時に加熱を受ける表面には着火しますが、内部の燃えていない部分に水分があるため、なかなか100℃を超えず燃え進みません。さらに、熱を裏面に伝えにくため、木材が厚いと裏になかなか燃え抜けてきません。早くても毎分1㎜しか燃えていかないので、厚さ30㎜の木材が裏面に燃え抜けるのに30分以上かかります。
 このように厚いか太い木材がゆっくり燃えることを長所ととらえて建築物をつくると、普段、心地よく、火災時にも避難猶予時間を稼ぐことができます。

木材を見せた防耐火設計

多くの木造建築物が、木造の柱やはりを、せっこうボード等の不燃材料で耐火被覆して仕上げることが多いです。理由のひとつとして、建築基準法の防耐火法令の規定のためと言えますが、その防耐火法令を詳しく読むと、せっこうボード等の不燃材料の他にも厚い木材で耐火被覆する手法も記載されています。
 実は建築基準法は、部位によっては、せっこうボード等の不燃材料で仕上げても、厚い木材で仕上げても、どちらも同等の安全性であるとしています。そのため、せっこうボードと厚い木材とを、適材適所で使い分ける設計が可能です。